文芸雑誌2月号から
まったく文芸雑誌を読まなくなってしまいました。もともと文学青年・・・今で言うと、文学少年・少女か・・・いや、そういう言葉も死語か・・・の読む雑誌でした。今も、それを買って読む人がいるのかどうか、はなはだ疑問です。
また、雑誌自体がすでにその役割を終えたとも言われています。古本の世界から見ると、かって時代と併走した雑誌はいくつもありました。併走したというよりも時代を創造しょうようとした雑誌もありました。
温故知新。
かつての雑誌を見直すことで、新しいものを創りだしていく。こうした営みが途絶えて久しい。やっているのかもしれないが、奏功しているとは言えない。それだけ時代に通じる道が険しいということ。
しかし、本当に雑誌のパワーがなくなったのかどうか。
女性誌は百花繚乱の様相。男性誌はというと、どうも活路が見出せないまま、暗中模索の状態です。ターゲットの設定とコンテンツの質の両面が合致しないまま今に至っています。
どうする、男性誌。
今月(2月号)の文芸雑誌・・・「新潮」「文学界」「群像」「すばる」・・・を見て、気になるものを拾うと、こうなります。
【新潮】
[特集]2012:想像力×世界!
長谷川邦夫「吉田健一論」(第2回130枚)
【文学界】
[特集]若き日の開高健
すでに新聞にも掲載されました新たに発見された自叙伝的小説「食卓と寝台第二章」が掲載されています。
鴻巣友季子さんの「カーヴの隅の本棚」が本になりましたが、連載は継続していました。
【群像】特になし
【すばる】
[座談会]井上ひさしの文学 夢の三部作から読み解く戦後の日本
大江健三郎 + 成田龍一 + 小森陽一
亀山郁夫新訳 ドストエフスキー「地下室の記録(第一部)」
こう見てくると、注目は2つ。
長谷川さんの「吉田健一論」の第1回を読みましたが、充実している内容で。読むのが待ち遠しい連載です。但し、毎月連載ではありませんので、早く一冊の本として読みたいと思っています。
ドストエフスキーに新たな光を! 亀山さんらの新訳が果たした役割は大きかった。今回の「地下室の記録(第一部)」も、かつてよく読んだ一冊なので、どういう訳になっているのか、関心のあるところです。
こうした雑誌広告の中から、新しい書き手を探すのも愉しみのひとつです。広告の中から、新人の作品を見つけ、未来を読むができます。本だけでなく、雑誌もいろいろな読み方ができます。
では、この2つを読むために、雑誌を買うかというと、どうでしょう。私の場合は図書館で借りて読みます。そしてよかったら・・・長谷川さんの「吉田健一論」は購入予定・・・購買リストに追加します。そうでない場合は、そこで終了です。
残酷な選択かもしれませんが、そうします。要は雑誌の、あるいは作品のコンテンツの問題です。充実した内容で、読ませるもの!であれば、読者は読みます。読むのが待ち遠しい気にさせるかどうかがポイントです。
次に買うかどうかのハードルがあります。いいコンテンツであれば、雑誌で読み、単行本を買うという段階にステップアップします。それは雑誌の段階で、ある程度見極められます。
いま求められているのは、ワンランクアップのコンテンツ!です。