職人のひとこと

ウールは常に生きている。その特徴をとらえ、スーツは立体的に仕立てられるようになるには最低15年の修業が必要である。

これはフィレンツェの高級仕立職人アントニオ・リベラーノさんのことばです。

ウールは繊維の王様といわれ、スーツの素材として高く評価されてきました。そのウールを使い、スーツを仕上げるために15年!という年月が必要なのです。

「はやい」ものづくりが良しとされている昨今、15年の年月は職人になるための修業の期間なのです。またそれはじっくりと本当に「いい」ものづくりをするためにも必要な年月なのです。

私たちはこの15年という長い年月に耐えうるのでしょうか。物事を考えたり、作ったりするために15年は長い。長い故にそれに耐えた人にしか本物を作ることができないのです。

1年というスパンでなく、10年というスパンで、物事を見ること考えることも大事なのではないか、とこのことばを読みながら思いました。あまりに近くばかり見すぎず、時に遠くを。