今福龍太さんの「山口昌男の歩み」

日曜日は朝日新聞日経新聞の読書欄を読むことから始まります。2紙の書評を読み、これは読みたいと思う本を絞り込み、購入するか、借りるかを決めます。購入する場合はスマホにメモ、借りる場合は図書館にネット予約をします。

今日とりわけ良かったのは朝日新聞の書評の本ではなく、今福龍太さんの「山口昌男の歩み」という記事でした。今福さんは山口さんの3冊の本を取りあげ、本の紹介をするとともに、山口さんの<知>について書いています。

その3冊は次の通り。

今福さんはこの3冊の本から、知の巨人である山口さんの歩みを紹介するにはあまりにもスペースが少ない気がしました。改めて今福さんには山口昌男論を書いてもらいたい。そう思いました。

しかし、この指摘は取りあげたい。これが本の本質を言い当てている箇所だと思うからです。

本は思考のための単なる「資料」や「文献」ではない。書物とのあいだにまず情動的な、身体的な関係をうちたて、書物のなかに宿された躍動的な「生命」を受けとめ、そこから日常的な知性のはたらきを自前の感受性によって組織化していくことこそ重要だ。

4月から新学期が始まります。今福さんが3冊目で紹介している『学問の春 <知と遊び>の10講義』は4月新入生が読む本としては相応しい一冊だと思います。


山口昌男著作集〈1〉知      道化の民俗学 (岩波現代文庫)       学問の春―“知と遊び”の10講義 (平凡社新書)