谷沢永一さん推薦のコラムニスト

谷沢さんがおすすめのコラムニストは「モラリストの含蓄のある雑談として完成した功労者」として、大正期の二人を挙げています。これも整理していた本谷沢永一『読書人の悦楽』*1からの引用です。

ひとりは「人間随筆にひとつの極致を作った逸話コラムの名手、薄田泣菫」。もうひとりは「「湖畔吟」その他の心境コラムを書き続けた杉村楚人冠」。

かたや毎日。かたや朝日を代表し、ひとたび味を覚えた読者を最後までに魅了し続ける、絶妙の手腕に置いて双璧をなし、コラムの論法と文体を、ほぼ完成した古典的存在である。平易な現代文による簡潔と含蓄の見事さは、今なお模範と仰ぐに足る。p189

谷沢さんがここまで書くおすすめのコラムニストです。二人のエッセイをぜひ読んでみたいと思います。

薄田泣菫の本はあるのですが、杉村楚人冠の本はすぐに手に入りません。入手が難しければ難しいほど、手に入れたくなるのは蒐集家の心理です。読んでみたい気持ちが高まります。

茶話 (岩波文庫)      独楽園 (ウェッジ文庫)      艸木虫魚 (岩波文庫)


*1:この本は『読書人の立場』『読書人の園遊』『読書人の壺中』『紙つぶてニ箇目』の中から選抜されたエッセイによって構成されています。