文庫本・・・出版の可能性を広げる小宇宙

編集委員の佐久間文子さんがこのタイトルで、今週2月24日の朝刊の「記者有論」に記事を掲載しています。その末文で次のようにまとめています。

<片手におさまり持ち運び自由。文庫とはすばらしい発明だとつくづく思う。出版の可能性を広げる小宇宙として、文庫市場の動向が気になる。>

そして、文庫の中でも、とりわけウェッジ文庫を高く評価しています。同文庫はご承知のとおり、昨年休刊が伝えられ、2月から新刊が出ていません。休刊ということで、それ以降の情報はありません。

ウェッジ文庫はいい文庫を出版 ・・・ 例えば、『東海道品川宿岩本素白随筆集』 ・・・ こうした文庫も出るのか ・・・ 次回はどんな文庫が出るのか ・・・ と期待させる ・・・ そんな文庫でした。

佐久間さんも書いています。ウェッジ文庫は<値段は高めでも、単行本を小型にするだけではない、シリーズとしての個性を打ち出す文庫だ。>

そうした文庫が休刊になることはたいへん残念なことだと思います。できればという思いがありますが、出版社の事情もありますから、そう簡単に言えません。

毎月多くの文庫が出版されますが、売れる文庫が残り、売れない文庫が無くなる、この冷酷な現実! でも、この現実によって人は鍛えられるのです。

ウェッジ文庫は<単行本を小型化するだけ>の文庫ではなく、個性的な文庫であり、志のある文庫でした。こうした文庫が発行されることはおそらくもうないと思います。

独楽園 (ウェッジ文庫)        東海道品川宿―岩本素白随筆集 (ウェッジ文庫)


書痴半代記 (ウェッジ文庫)        新編 燈火頬杖―浅見淵随筆集 (ウェッジ文庫)