「本の世界 知の楽しみ」

筒井康隆さんが朝日新聞の読書ページに連載していた『漂流 本から本へ』が朝日新聞出版から刊行されました。

それに伴い、筒井康隆×丸谷才一×大江健三郎の各位が読書について語り合いました。題して「本の世界 知の楽しみ」です。

この鼎談を読むと、三人の鼎談は今回が初めてと言います。長らくお付き合いのある方々なので、意外でした。そして読書をめぐる話はなんと食事も含み5時間も続いたといいます。

1/30の朝刊に掲載されたのはその一部で、全文は「小説トリッパー」春季号に掲載されるそうです。( そう書いている佐久間文子さんですが、いままで読書面の編集長をやってきましたが、来週から鈴木京一さんに交代するそうです。)

まずは、大江さん、丸谷さんが今回の筒井さんの本について賛辞を呈し、話は本の話、読書の話へと進みます。

三人とも日本でも有数の読み手だけに、それぞれが一家言を持っています。話し始めたら長くなりがちです。鼎談のすべてを読んでみたくなりますが、それは「小説トリッパー」を待つしかありません。

大江さんはこの時代を次のように言っています。

< (前略) 読書経験の豊かな編集者の優れた選択で、この50年の日本でどんないい本が出ていたかわかり、目を洗われます。本を読む人間にとって、いい本との出会う最高の時代ではないかと思います。>

楽観的過ぎないかと思いますが ・・・・・ 贅沢な環境ではそれが贅沢かどうかわかりませんので ・・・・・ いまは、逆にそういう時代なのかもしれません。

また、丸谷さんは ・・・・・ いつもですと、丸谷さんの独断場になる? のですが、今回は少し抑え気味 ・・・・・ それでも本の本質を次のように言います。これは!です。

<本というのは、おのずから他の本を読ませる力があるものなんです。ある本が孤立しいてあるのではなく、本の世界の中にあるのだから、感動すればごく自然に、他の本に手が出る仕組みになっているんだ。>

だから、本の世界は必ず残存し、人は知の楽しみを享受する、ということになります。より一層、全文を読みたいという気持ちが高まってきています ・・・・・ 。

最後に、新聞に掲載の写真、三人一緒に並んでいますが、皆さん、お元気で何よりです。これからも、お元気で。

漂流 本から本へ     小説のたくらみ、知の楽しみ (新潮文庫)     星のあひびき