読書という営み

毎月、出版社のPR誌が無料で配布されています。そのなかでも、岩波書店の「図書」はその代表格のひとつです。内容は学術的、専門的なので、気軽に読むわけにはいきません。自ずと読む側も、ひとつ構えてしまいます。

しかし、そうした硬い読み物ばかりでなく、柔らな読み物もあります。それを読むために、書店に行くと必ず「図書」を貰ってきます。もらえない場合は神保町の信山社に行くと貰うことができます。

そのなかに、毎月各自が「本と私の時間」というテーマで、読書についての話を書いています。今月10月号は精神科医の泉谷閑示さんが「読書する怠け者、読書しない怠け者」というタイトルで書いています。

その中の「読書という営み」について書いた箇所がよかったので、メモしておきます。

<「劇を見に行って心の平衡(バランス)を失うことがなければ、その夜の収支決算は赤字である。」と演出家ピーター・ブルックスは書いているが、「経験」とは、自身の内的成熟のために「心の平衡を失うこと」を厭わずに「身を開いて」生きることなのである。そしてまた読書という営みも、「開かれた」姿勢でなされなければ、「経験」にはなり得ないものなのだ。>

読書をする場合には、身も心も開かれた状態にすることが大切だと思います。心のバランスを失うことも恐れずに。いや敢えて失っても、そうすることで成熟するための経験を積むことができる。まさに同感です。

しかし、心のバランスを敢えて失っても、開かれた境地でいられるかどうか。有言実行できればいいのですが、 その前で二の足を踏んでしまいます。ですから、アンバランスへの、少しの勇気を、なのです。

週刊 ダイヤモンド 2010年 10/16号 [雑誌]

これもまたタイムリーな特集!
「読む・めくる」「選ぶ・買う」
「残す・運ぶ」「著す・編む」
の4つの視点から徹底研究!!