ブログはやはり面白い

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6/5の「オベリスク日録」を読んで、青柳いづみこさんの『音楽と文学の対位法』を読みたくなりました。obelisk1さんがこの文庫を高く評価しています。

<洵におもしろい。優れた音楽家としての楽曲分析も(自分にはちょっと詳しすぎるが)興味深いし、また文学書を実によく読んでいる。「主要引用文献」を見ていただきたい。脱帽である。(中略−吉田秀和さんとの比較)まあそれはともかく、日本人のクラシック音楽の受容の成熟を示す、素晴しい仕事である。これからも注目の人だ。>

と、力強く宣言されると、興味を持たないわけにはいきません。私のような音楽が苦手なものにとっても、ちょっと見てみたい気にさせます。こういう刺激が読書/書物ブログのいいところです。

音楽と文学の対位法 (中公文庫)



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次のブログめぐりは6/3の「古本万歩計」です。古本好きの日記なのですが、本当に本好きであることが日記を読めばよくわかります。たとえば、同日の「出張の帰りに」では、多和田葉子さんの作品を7冊取り上げいますが、これがいいコレクションなのです。

私も多和田さんの作品を集めていますが、多作ではないので蒐集が簡単ではありません。そうした作家の本がこれだけ並ぶと、羨ましい限りです。作家の本やシリーズの本を集めるのは大変ですが、集まると、それはそれで壮観です。それを眺めて自己満足に浸るわけです。これが蒐集家冥利に尽きるということなのでしょう。

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いい古本を並べている古本屋さんに「古書 往来座」があります。そのブログ「往来座通信」にもいい古本が多数紹介されています。さすが「往来座」と唸ってしまうこともあります。

その通信を読んでいて、本ではないのですが、なんとあの赤テントの写真を発見しました。

赤テントといえば、唐十郎です。唐組芝居です。写真は雑司が谷鬼子母神境内で開催の唐組・第45回公演「百人町」の写真です。唐ファンとして、久しぶりに唐組の芝居を見てきました。まだまだ唐十郎健在!です。

学生時代から断続的に唐さんの芝居を見てきました。出演者やスタッフも変わりましたが、赤いテントで地べたにシートを敷き、そこで芝居を見るスタイルも、そこで演じられている唐十郎の摩訶不思議な世界は変わりません。

かつてアングラと呼ばれ、熱気のあった時期もありました。そんな時代もあったねと、時代はめぐるだけですが、唐さんはその世界に頑固一徹こだわり続けています。今回の赤テント、唐組の「百人町」をぜひ見てほしいと思います。

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もうすでに周知のことですが、「茂木健一郎 クオリア日記」は内田樹さんの「内田樹の研究室」同様よく読まれているブログです。茂木さんの日々の感じ、考え、動きが克明に記されています。

例えば、6/6の「ものづくり2.0」では次のように言っています。

<もちろん、現場で創意工夫をし、技術を高めていく「ものづくり」の精神はこれからも大切である。
その一方で、自らグローバルなネットワークという偶有性の大海に乗り出していこうという人が現れてこそ初めて、日本の「ものづくり」の卓越性を保つことができる。>

かつて寺山修司さんは「書を捨てよ、町へ出よう」と言いました。町に出た少年はどこをめざすのか。それは日本ではなく世界です。これからは世界が相手です。書を捨てて、町へ出た少年は「日本を捨て、世界に出よ!」です。世界をめざす!そうした意欲ある人がもっと出てきていい気がします。