6月新刊文庫の追加

すでに6月の新刊紹介をしましたが、「文庫発売一覧」から6月発売の気になる文庫を追加します。この一覧を見るたびに、毎月これだけの文庫が出版されていることに驚きます。

全ての新刊を置こうとすると、もちろん中小書店ではムリ。そこで各書店の選球眼による「選択と集中」が必要になります。それができなければ、生き延びることが厳しくなっています。

大型書店だと、新刊の量には対応できますが、多過ぎるという「許容範囲」という問題が生じます。そこで適度で適確な本の「提示と販促」が必要になります。が、この適度で適確が難しい。

野球でも動体視力と選球眼が大事だといわれます。前者は先天的な面も強いのですが、後者の選球眼は自ら努力して高めることができます。書店でもこの選球眼を鍛えるしかありません。

そのためにはまず(1)直球から変化球までの知識を持つ。(2)実際にいろいろな球種を見る打つ練習をする。(3)「選択と集中」あるいは「提示と販促」を企画・実践する。この繰り返しの中で、自分のスタイルと創ることが必要になります。

これからの書店は規模(量)のショップではななく、選択(質)のショップが求められています。永江朗さんも言っているように、書店もセレクトショップの時代に入ったと言っていいでしょう。( もうすでにの話ですが。)

当店が6月の新刊文庫をセレクトしました。一人の読者としても読んでみたい文庫です。特に、原武史著『滝山コミューン一九七四』が一押しです。*1

【6月の新刊文庫−気になる一冊】
発行日  著者       書 名 価格  文庫名
06/04 荒木陽子 『東京日和』 735 ポプラ文庫
06/09 斎藤環 『家族の痕跡』 630 ちくま文庫
06/09 吉本隆明 『父の像』 714 ちくま文庫
06/15 原武史 『滝山コミューン一九七四』 630 講談社文庫
06/23 開高健 開高健の文学論』 880 中公文庫
06/29 堀江敏幸 『めぐらし屋』 420 新潮文庫
06/29 四方田犬彦 『先生と私』 500 新潮文庫


東京日和
荒木陽子/荒木経惟 『東京日和』
(筑摩書房)
 

 

*1:既に持っている本が文庫化される場合には、誰が解説を書いているかが購入の基準になります。本当に好きな本ですと、その本を2冊買って、1冊は書棚に置く本として、もう1冊は文庫で読む本として、という人もいます。しかし、 大方の人はどちらか1冊で十分でしょう。本の置き場所より人の居場所の方が大事ですから。