青山南 『眺めたり触ったり』

天気がめまぐるしく変わる一日でした。午前曇りから始まり、午後は雪、霙、そして雨になりました。寒さも三月のそれではなく、冬に逆戻りしたようでした。大雪、地震、天候不順と、地球が動揺し、自然が変調しています。

そんな一日、青山南さんの『眺めたり触ったり』(早川書房)を読みました。この本は「ミステリーマガジン」に同名で1992年4月から1994年12月まで掲載された読書コラムをまとめたものです。青山さんの文と阿部真理子さんの絵で構成されています。

その中で、翻訳家の宮脇孝雄さんの自分の本棚についてしゃべった言葉が紹介されていました。

<「本って、まず最初は書棚に縦に並べますよね。それが前後二列になり、次に上の隙間において、最後に床に積み始める。こうなるともう際限がなくなるので、だいたいの地図を書いておくんです。どこを掘ればなにがでてくるかっていう地図をね。で、似たような分野を固めておいて、真ん中にひとがひとり通れるくらいの道をあけておくんです」>

それに対して、青山さんは次のように言います。

<ただ、ぼくの場合、地図はない。ぼんやりとした記憶と勘だけが頼りだ。本棚の奥深くから、どんでもない本が顔をだして、わお、と大喜びすることもある。じぶんの本棚、そう、発掘の喜びをもたらしてくれる遺跡のようなものでもある。>

宮脇さんの本棚の話は本好きの方なら、同じ体験を何度もしているのではないでしょうか。まさに私の部屋も「ひとがひとり通れるくらいの道」があります。それが次第に狭くなっています。

本棚の地図づくりをしなければならないのですが、最近購入した本、特に平積みになっている本の地図が出来上がっていません。私も、青山さんの言うように、「ぼんやりとした記憶と勘だけ」で発掘することになります。

しかし、前々からお知らせしているように、4月に本の大棚卸しをしたいと思っています。すでに忘れ去られた遺跡を発掘することができるのでしょうか。それを4月の古本イベントに出品したいと思います。

4月からの古本イベントへの出店は次の通りとなります。

4/20(火)〜4/24(土) ふるぽん秘境めぐり ブック・ダイバー
4/29(木) 一箱古本市 不忍ブックストリート


眺めたり触ったり        翻訳家という楽天家たち (ちくま文庫)