管啓次郎さんの新刊

管啓次郎 『本は読めないものだから心配するな』(左右社)は<旅の途上で、満天の星の下で、本を語り、世界に通じるためのレッスンを語る、実用的にして非啓蒙的な、読書批評エッセイ集>です。

この本、まだ未読ですが、ブログでの紹介文の中に次のような引用がありました。

<本に「冊」という単位はない。これを読書の原則の第一条とする。本は物質的に完結したふりをしているが、だまされるな。ぼくらが読みうるものはテクストだけであり、テクストとは一定の流れであり、流れからは泡が現れては消え、さまざまな夾雑物が沈んでゆく。本を読んで忘れるのはあたりまえなのだ。本とはいわばテクストの流れがぶつかる岩や石か砂か樹の枝や落ち葉や草の岸辺だ。流れは方向を変え、かすかに新たな成分を得る。問題なのはそのような複数のテクスチャアルな流れの合成であるきみ自身の生が、どんな反響を発し、どこにむかうかということにつきる。読むことと書くことと生きることはひとつ。それが読書の実用論だ。そしていつか満月の夜、不眠と焦燥に苦しむきみが本を読めないこと読んでも何も残らないことを嘆くはめになったら、この言葉を思いだしてくれ。
 本は読めないものだから心配するな。>

この引用文を読んで、確かに、と何度も頷きました。

<問題なのはそのような複数のテクスチャアルな流れの合成であるきみ自身の生が、どんな反響を発し、どこにむかうかということにつきる。読むことと書くことと生きることはひとつ。それが読書の実用論だ。>

この読書の実用論も印象深く、刺激的でした。原本『本は読めないものだから心配するな』を読んでみたいと思いました。こうした引用がきっかけで本と読むのもひとつの読書法です。

管啓次郎さんについて検索をしていると、管さんのブログ「Mon pays natal」を見つけましたので掲載します。ブログ名をクリックしてください。尚、管さんのプロフィールについては同ブログに詳しく書いてあります。

また「本よみうり堂」の空想書店の2月の店長は管啓次郎さんです。

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