丸谷才一さんの「無地のネクタイ」

昨日、水曜日は古本の日にもかかわらず、手元にあるのは「図書」2月号と文庫3冊。あまりいい収穫とはいえません。


青いバラ (新潮文庫)    藤村のパリ (新潮文庫)    ルイズ―父に貰いし名は (講談社文庫)



岩波書店のPR誌「図書」を読んだのは何ヶ月ぶり?です。まず一通り目を通し、気になるものを読んでいます。2月号から丸谷才一さんの「無地のネクタイ」の連載が始まりました。

まず初回、「学問の本の文体」というテーマで、渡辺一夫先生の『フランス・ルネッサンスの人々』を取り上げていました。

この本の<内容はしっかりしてゐる高度な本で読みごたえ充分なのに、文章のはしはしが神経に障る>といい、<つまり自分の待遇が関心事になって、話を主題がどうでもよくなる。フランス・ルネッサンスの人々より読者である自分の扱ひが大事になる>と書いています。

最後にも、谷沢永一さんの『文豪たちの大喧嘩』も<すばらしい研究だけれど、言葉づかひが猛烈なのには辟易した。その欠点は重大だったが、しかし中身は上質で充実してゐた。文学書である以上、もっと抑制のきいた文章でかいてもらひたかつたなあと今でも惜しむ。>

これからこの連載で丸谷さんの辛口批評を読むことができます。愉しみがまた増えました。これで『週刊文春』とこの「図書」が必読誌になります。貰い忘れのないようにしなければ。

文豪たちの大喧嘩―鴎外・逍遙・樗牛