山本茂さんの本の見極め方

先週買った文庫に山本茂さんの『本の愉悦―わたしの雑読・乱読・必読』(現代教養文庫)があります。それを読み始めると、山本さんの本の見極め方が書いてありました。

<・・・・・ここに登場する本の数々は私の指が気ままに選び出したものである。これをもってすべてが珠玉の名編と推奨するつもりはないが、よんどころなく義理で選定したものは一つもない。どれもみなカロリーが高く、心ゆくまで楽しませてくれた。本マニアでもなく、とりあえず貧しい私は〝積んどく主義者〟でもない。「必ず読むだろう」という予感がなければ本は買わない。タイトルと装幀を眺め、書き出しの一行と終わりの一行を読む。これで作者の実力と本の価値の九○パーセントはわかる。だから世の物書きたちよ、文章は脳漿をしぼれ。編集者たちよ、装幀には心血を惜しむな。>

山本さんはタイトル、装幀、書き出しと終わりの一行で本を見極めるといいます。果たして始めと最後の一行で判断できるのかどうか。そこに至るまではかなりの年季が必要なのではないか。

しかし、本を見極めるためにはそのくらいの見識を持ち、自らの眼力を鍛えておかないとムリでしょう。この3条件で本の良し悪しを判定するのにはまだまだ力不足です。