「刻苦勉励病」から休息へ
「内田樹の研究室」の12/23「ナマケモノでいいじゃないですか」の記事に共感しました。
内田さんは次のように言います。
<だが、恒常的に欠落感を感じ続け、「世界標準へのキャッチアップ」だけでわが身を鞭打ち続けているうちに、日本人は国民的規模で「鬱」になってしまったのである。
現在の日本の不幸の原因は「過労」である。>
<個人については万人が同意する診断について、国民全体については同意できないというのは、そこまで「刻苦勉励病」の病巣が深く国民性格のうちに巣喰っているということである。
それだけ病状は深刻なのである。
だから、「休もうよ」と申し上げているのである(と言っている本人がまず休むことが先決なのだが、それができないでつい仕事をしてしまうというところに現代日本の病状の深刻さが露呈しているのであるが)。>
<繰り返し申し上げるが、現代日本の不幸の過半は「努力のしすぎ」のせいである。
私たちは疲れているのである。
私たちに必要なのは休息である。>
まさにいまわれわれに必要なのは休息なのです。それが取れない状況がまずい。その原因は戦後から培われてきた「刻苦勉励病」なのです。
これが病でなく、時代と合致し、効力を発揮したこともありますが、いまは時代が変わり、状況も一変しています。だから内田さんはナマケモノでいいと言っています。
<オレ、ちょっと疲れちゃったからさ、休まない? ねえ、休まない?>
まさにこれなのです。いま一番の必要なことは。
休むことで、気ままな生活ができ、鬱が解消されれば、それに越したことはない。そういう人が増えれば、日本も変わっていくる気がします。しかし、それがムリならば、日本のこれからは何も変わらないと思います。
現実はそんなに甘くはなく、もっと切実で、もっと大変なのですが、それでも敢えて言いたい。<ちょっと疲れちゃったからさ、休まない?>
※内田さんは12月の新刊で『日本辺境論』(新潮新書)を出しました。約一年ぶりの書き下ろしだそうです。売れ行きは好調なのですが、まだその新刊を読んでいません。