出久根達郎 『人は地上にあり』

今日の読了本は出久根達郎『人は地上にあり』(文春文庫)。この本は出久根さんの読書エッセイです。いろいろな題材でエッセイを書いていますが、読書エッセイが一番いいと思います。

この本は著者のいう「隅っこの本」を紹介する内容になっています。この「隅っこ本」とは次のように言います。そういう本のために、提灯を持とうというのがこの本です。

<類書が少ない、ということだ。ということは、読者の数も限られている。しかし熱烈なファンがついている。ベストセラーを読み、大勢の者と感動を共にするのも、悪くない。しかし、少部数の、いっぷう変わった内容の本を楽しむのも、これまた読書の醍醐味である。小部数の本は、小部数ゆえに世に紹介されない。いつのまにか出版され、書棚の隅っこにいて、いつのまにか消える。>

また出久根さんが古本屋攻略法を書いています。これは一読の価値ありです。めざすは古本あさりの穴場、書棚の最下段。

<古本屋の棚も、そうだ。こちらは商売だから、大事な本というより、売れ行きのよい本、あるいは主人が売りたく思う本、を陳列する。売れ残ると、一段ずつ下の棚に移る。つまり降格である。書棚の最下段が身の行きどまりで、ここでも売れないと、古本屋の場合、店頭の百円均一台に投げこむことになる。古本の掘り出し物は、書棚の最下段で見つかることが多く、古本あさりの穴場といえる。>

人は地上にあり (文春文庫)
「人は地上にあり」
「人は書物にあり」