内田魯庵『獏の舌』
内田魯庵『獏の舌』(ウェッジ文庫)を読了しました。一読しての雑感を書きます。
この文庫は「獏の舌」と「獏の耳垢」の二つで構成されています。
「獏の舌」では<知識の持つ無用の用の凄さ>を感じました。なかでも「蒐集家」や「世界的蒐集」等は面白く読みました。そこに出てくる淡島寒月が妙に印象に残っています。( この人を少し調べてみたいと思っています。)
また時事的なことは1920年前後の日本だけでなく、世界の動向もわからないと、十分理解できないかもしれません。それがわかれば内容の理解もさらに深まります。
「獏の耳垢」では古本のことが書かれており、当時の古本事情を知ることができます。古本好きの方は「獏の耳垢」から読んでもいいと思います。
さらに内田魯庵の人となりを知りたくなりました。先日ブログに書いた『読書放浪 魯庵随筆』斎藤昌三、柳田泉編(平凡社東洋文庫)を読むと、その一端がわかるかもしれません。
この本の解説を坪内祐三さんが書いています。
<私の解説なんかよりも山口昌男の名著『内田魯庵山脈』(晶文社)を繙いてもらいたい。より深く味わうことができるから。そして、知識の持つ無用の用の凄さを体感するだろう。>
山口さんの本も大著です。かなり前に図書館の本で読みました。この本も内田魯庵の人となりを知る上での必読書だと思います。