桂枝雀は終わらない

2/22朝日新聞の「終わらない」シリーズで、桂枝雀さんが取り上げられていました。

桂さんが自死してから今年で10年経つといいます。その記事を読むと、求道的落語家として桂枝雀さんがどういう経過で死に至ったのかがわかります。求道的でもあり、前衛的でもあり、凄い落語家であったことは確かです。

落語界で桂枝雀スタイルを築きつつある中で、33歳うつ病*1になります。回復し復帰すると、<爆笑スタイル>を確立しました。そんな格闘をしながら、また再びうつ病に。そして99年3月に自殺することになります。

映像作家松本俊夫さんのコメントの中に、次のような一文があります。

<芸能界屈指のインテリであったがゆえに、最後は穴に落ち込んでしまったと思えてなりません。>

さて、この「穴」は何だったのか。考えるところから始まります。終わりの始まり。だから桂枝雀はまだ終わらないのでしょう。

桂枝雀のらくご案内―枝雀と61人の仲間 (ちくま文庫)      笑わせて笑わせて桂枝雀


*1:うつ病患者は百万を超え、誰でもかかる「心のかぜ」といわれています。その診察診断にはバラツキがあるともいわれます。
この「心のかぜ」? かぜと簡単にいえないほど、心の病は手ごわいと思います。その治療の処方はというと、標準的な処方がありませんので、各自の治療となります。個人ごとの処方はきめの細かな対応が必要になります。
自分のことは自分でといいますが、明らかに自分でできない人がいることは事実です。心の病に対する偏見もあります。家族だけで介護介助できない場合もあります。
高齢者や障害者対策と同様に、心の病を持った方々への適切な対応とは何なのでしょうか。個人と家族だけの問題ではないと思います。 (3/7加筆変更)