毎日jp「今週の本棚」からのメモ

今福龍太著『群島−世界論』(岩波書店 5460円)
沼野充義

<このところ、世界の文学を新たな広い視野に置いて自由に読んでいこうとする企てが相次いでいる。特に注目されたのは、いずれも昨年出版された三冊の本である。刊行順に並べれば、西成彦『エクストラテリトリアル 移動文学論2』(作品社、二月)、細川周平『遠きにありてつくるもの』(みすず書房、七月)、そして今福龍太『群島−世界論』(十一月)。奇(く)しくもすべて、五十代半ばにさしかかろうとする同い年の研究者による著書だ(ついでながら、そう言う評者も同世代に属する)。読書と旅の経験を十分に積み、世界を広く見てきた書き手が、自分のビジョンを世に問うといった趣の手ごたえのある本である。>

群島-世界論      クレオール主義 (ちくま学芸文庫)