朝日新聞の<書評委員お薦め「今年の3点」>

ようやくネットに朝日新聞の<書評委員お薦め「今年の3点」>が掲載されています。各自の選択は書評のプロが選ぶのですから、一般と明らかに違い、全体的に硬い本が多い気がしました。

それぞれ専門分野を持ち、そのジャンルの選書としては力が入ることと思います。それも数多ある本の中から3点を選択するのが難しい。並な選択眼ではムリなのではないか、そう思います。

例えば、ファンの1人として、鴻巣友季子さんの3冊を次に紹介します。 

(1)他者という試練―ロマン主義ドイツの文化と翻訳 
  [著]アントワーヌ・ベルマン [訳]藤田省一
(2)ミッツ―ヴァージニア・ウルフのマーモセット 
  [著]シークリット・ヌーネス [訳]杉浦悦子
(3)聖家族 [著]古川日出男

この3冊、どれも読んでいません。特に翻訳家である鴻巣さんは<今年は翻訳に関係する重要な本が多く出た。とくに(1)は20世紀までの翻訳学の里程標となる大作。>と言っています。やはりその道の専門家としての選択ということなります。

お薦め本をひと通り見ると、それなりに参考になる本もあると思います。そして買おう、借りよう、拾おうということになります。すべての本を読めればいいのですが、それは叶わぬ夢なのですから。

では私の3冊はというと、まず第一に挙げられるのが青木正美さんの『古本屋群雄伝』です。これは直近の読了本として面白かった1冊です。それ以外となるとなんとも決めがたいのです。

ブログめぐり後、「エスクァイア日本語版」2月号を見ながら、こんなことばを見つけました。<ただ心を開き、音楽に語らせる> 音楽欄の見出しなのですが、何となく気に入りました。読書欄なら、こうなるでしょう。

<ただ心を開き、本に語らせる>

本について語る前に、まず本に語らせる。そして次に本について語る。この受容と生成の過程が読書です。心静かに、耳を澄ませ、本の語ることを聞きたい。そんな年の瀬です。