加藤周一さん亡くなる

昨日の朝の新聞で、加藤周一さんが亡くなったことを知りました。このことについては読書ブログの中でもいくつかのブログで取り上げていました。改めにとは思ったのですが、加藤さんの本を読んできたものとして、加藤さんについて書いておきます。

まず、ブログの中で、加藤氏と著書の紹介を全般的に取り上げていたのが、「整腸亭日乗」です。またそして「書店員の話」でも加藤氏について取り上げ、<多くを学んだ戦後の知識人がまた一人消えていくのがとても寂しく思う>とまとめています。

私は数多い著書の中で『日本文学史序説』(上・下)が一番印象的でした。いまはちくま文庫で読むことができますが、私の持っている本は筑摩書房刊(かつては「朝日ジャーナル」に連載)のものです。

この本を読んだ時には日本文学史が明快に理解でき、全体を展望することができました。文学史というと教科書的なものが多い中で新鮮な感じを受けました。その時の記憶が強く残っています。

それ以降、加藤さんの本はできるだけ目を通してきました。ずっと続いていたのが「朝日新聞」に月一回連載されていた「夕陽妄語*1です。これも読んでいました。同世代の方々が亡くなっていく中で、孤高の戦いをしていました。

89歳、逝去、合掌。

夜、矢島翠さんの本『出会いの遠近法』(潮出版社)の注文がメールで届きました。それも沖縄から。

日本文学史序説 上 (1)     日本文学史序説 下

*1:12/7「朝日新聞」の「天声人語」から。<夕陽とは老境のたとえでもある。妄語どころではない多くの宿題を今の世に残して、「知の人」は旅立って行った。>