山崎昌夫さんのこと

山崎昌夫さんの本『旅の文法』(晶文社)が書棚に並んでいます。その本の「著者について」には次のように書かれています。

山崎昌夫(やまざき・まさお)
一九三四年、新潟県に生まれる。新潟大学文学部法律学科卒業。
著書『旅の思想』(一九六九年、三一書房)

この次に出版されたのが、いま手元にある『旅の文法』です。それ以降著書はなし。また一時期いろいろと山崎さんについては調べたのですが、消息不明。

今日ネットを検索していると、「水牛通信」1987年8月号 通巻97号 高頭祥八「実現されなかったシベリア旅行」にこの山崎昌夫さんのことが書いてありました。

もともと高頭祥八さんが長谷川四郎さんの追悼記として実現しなかったシベリア旅行について書いた文章なのですが、そのなかで山崎さんのことに触れています。

<やがて七〇年代も終わりに近い一九七九年一二月一日、山崎昌夫が清瀬の病院で死んだという知らせが来た。>

山崎さんについてはこの一文だけでした。もうすでに亡くなっていました。さらにネット検索をして山崎さんの情報を探しましたが、これ以上の情報を掴むことが出来ませんでした。

山崎さんの本は旅の本として扱われていますが、まったく違います。以前、小澤征良さんが<本を読むことは旅をすることと似ている。>と書いていましたが、まさにその意味での読書エッセイです。

晶文社の旅の本として、次のように紹介されていました。

<ロマンチシズムに育まれた旅の神話が崩壊し去った今日、旅はどのようにした可能か。旅の実像・虚像をさまざまな側面から照射し、新しい世界の開示を求めて彷徨する旅人たちの魂の軌跡を、古今東西の600冊におよぶ書物のなかに辿るユニークな「旅の百科」。>

私は『旅の文法』を読んで、山崎さんに興味を持ちましたが、あと一冊『旅の思想』を読んでみたいと思いました。副題、<いのちの増大>に関する小さな試論 。

山崎昌夫さんはずっと気になっていた作家のひとりです。

旅の文法 (1976年)