植草甚一と富士正晴の本

日曜日、朝刊の読書欄からの記事はすでに掲載しました。Webの毎日jpの「今週の本棚」を読んでいると、気になる本がありました。それは次の2冊です。

前者はようやくというか、待望のというか、草甚一さんの生誕100周年記念本です。この本の評者は若島正さん。植草甚一さんについて次のように書いています。

< 植草甚一は、本質的に新しいもの好き、つまりはモダンボーイだった。それに感化されてか、大学生のころのわたしはアメリカの新しい小説ばかり読んでいた。歳(とし)を取ってから、新しい小説を追いかける気力と体力がなくなったわたしの目には、植草甚一がとんでもないエネルギーと好奇心の持ち主だったと映る。なにしろJ・J氏は六〇歳を過ぎてもまったく変わらなかったのだから >

植草甚一さんの、このエネルギーはどこからくるのでしょう。それは何と言っても人一倍の好奇心。その心を持ち続け日々自由に楽しく過ごすことが植草スタイル。できそうで、できない事を当たり前にやっている植草さんだからこそ、その生き方に憧れるのです。


後者の山田稔さんの本もいい本のようです。評者が井波律子さんであれば、さらに読みたくなる一冊です。本の紹介する上で、書評ももちろんですが、評者も大事です。

< 作家・フランス文学者の山田稔が、久坂葉子桂春団治などの評伝で知られる作家富士正晴(一九一三−一九八七)とやりとりした書簡をベースに、富士正晴の文学と生き方を細やかに描きつつ、自らの軌跡をたどった異色作である>

この膨大な往復書簡から浮かび上がる富士正晴さんとはどういう人なのか、気になるところです。いままで富士正晴さんについて多くを知りません。だから知りたくなります。これも大いに気になる一冊です。