清水幾太郎『私の文章作法』

先日購入した清水幾太郎『私の文章作法』を読み続けています。ブログにもこの文庫のことは書きましたが、読んでいて、ひとつ肝心なことを見落としていました。

それはこの文庫の解説を書いているのが、狐さんだったのです。ブログを書いたときはまったく気づかなかったのですが、目次を見て驚きました。そして解説を読みました。

この解説がいい。これは清水さんの著作を十分読み込んであればこその内容です。たった8ページ!の中に、この文庫の内容と清水さんの著作の紹介と清水さんさんへの評価が盛り込まれており、読ませます。

清水幾太郎が「文章作法」と称し、あるいは「レトリック」と呼ぶのは、その混沌に設計と加工を施す作業プロセスのことにほかならない。そして、清水幾太郎こそ昭和の思想家の中でもっとも精密な規矩をもつ、もっとも強い構成意思をもつ表現者の一人であった>

さらに、清水幾太郎さんの「日本人の自然観」(講談社版 『清水幾太郎著作集』第十一巻)と自叙伝『私の心の遍歴』(『清水幾太郎著作集』第十巻)を紹介して、次のようにいいます。

<すなわち文章を書くということはどういうことか、清水幾太郎はそれを『私の心の遍歴』の一節と「日本人の自然観」とによって、力を窮めたダイナミックな形で見せているのである>

この「ダイナミックな形」を読んでみたいと思いました。

山村修著『もっと、狐の書評』(ちくま文庫)、明日発売です。