新聞の読書欄から

日曜日の朝はいつものように新聞の読書欄から始まります。

日経新聞の読書欄で、演劇評論家 長谷部浩さんが福田陽一郎さんの『渥美清の肘突き―人生ほど素敵なショーはない』(岩波書店)について書評を書いていました。その書評のタイトルは「友への思い熱い演出家の自伝」。

この書評は本書に即して、日本のショービジネスの歴史を語り、時代を牽引してきたスターたちとの交遊録を記しています。なかでも、著者は渥美清さんに畏敬の念を抱いていました。

二人で観劇に行った折、15分か20分すると、渥美さんが肘突きを始めるといいます。その意味が何なのかは本書を一読下さいとまとめています。

また、「週刊文春」で海野弘さんも同書の書評を書いていました。

<この本は1960年代ぐらいからの日本の大衆演劇、ショービジネス、テレビ番組に関わった脚本家・演出家の回想記である。そこに親しかった渥美清が随所に登場し、薬味をきかせ、またなごませる。>

そして、2つの歴史的視点・・・同時代のアメリカのポピュラー文化、もう一つは戦後のポピュラー文化・・・からこう書いています。

<私たちは、新劇とバラエティなどを別々に考えているのだが、実はその間には自由な交流があったことをこの本は教えてくれる。>

長谷部さんのような本書に即した書評もあり、海野さんのような文化史的観点からの書評もあります。どちらを読んでも、気になる今週の一冊です。