渡辺英綱『新宿ゴールデン街』

今日はしっかり携帯本、川本三郎さんの『ちょっとそこまで』(講談社文庫)を持ち、外出しました。こういう本を読んでいると、ふらっと見知らぬ街に行ってみたくなります。そんな気ままさが日常の中にほしい。

もう一冊、自宅で読み続けてきたのが、渡辺英綱さんの『新宿ゴールデン街』(晶文社)です。表紙は当時(いつ頃だろうか、おそらく1980年代)の新宿ゴールデン街で、ページをめくりながら懐かしい写真も見ることができます。
そして、この街の明治、大正、昭和から1980年代までの歴史と生きた人たちの喜怒哀楽を読むことができます。街に歴史あり、人に人生あり。この街は東京の辺境であり、同時に中心でもあるような気がしています。

「飲み屋の文化」では、多くの文化人が行きつけの店ともち、夜な夜なゴールデン街に出没していたことが書かれています。<ゴールデン街で飲めば文化人?!>だった時代もあったのです。

例えば、昭和三十五年夏に「ノア・ノア」が開店十三周年の記念パーティを開いたときは、発起人として、二百三十六名の人が名を連ねたといいます。またその名を追っていくと、その数と名前に驚くことしきりです。

この本は新宿ゴールデン街を知る上で、必読の一冊です。著者の渡辺さんは街の語り部として、1980年代以降の新宿ゴールデン街の歴史を書いてほしいと思います。

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