江藤淳『妻と私・幼年時代』

1月の過ぎるのが早く、もう2月。時間は一秒、一分、一時間、と毎日同じように時を刻んでいます。昨日は次の本を読み終えました。

前者は一冊持っていた気がするのですが、これが2冊目? それでも一読して、自分の読書の範囲が狭いことを実感しました。この1300冊の中にも未読の本が多数あります。さて、これからどれだけの本を読むことできるのでしょうか。

すべての本を読み切ることはできません。せめて自分が必読だと思う本は読みたいと思っています。そのくらいの時間とゆとりはほしいものです。積み上がった未読の本を見ながら、そう思います。

後者は単行本で持っていた本ですが、先日買った文春文庫で読みました。「妻と私」では、何ともいえないせつなさとどうしようもないむなしさを感じました。このほかに江藤さんの絶筆「幼年時代」と福田和也吉本隆明石原慎太郎、各氏の追悼文が載っています。

これほどまでに最愛の人の死が心を傷つけ、これほどまでに自らの病が体を蝕むのでしょうか。二重三重の苦によって、江藤さんは深い絶望の淵に立っていたのでしょう。そしてそこから身を投げ、自ら死を選びました。

最後に付記されている「江藤淳年譜」を見ながら、江藤さんの一生を振り返っています。この本は生と死について重い問いかけをしているように思います。こうした場面はいつか必ず立ち会うことになる避けられない現実です。それをどう受け止めるのか。

平成十一年(1999年)     六十六歳
七月七日、『妻と私』(文藝春秋)刊。
七月八日、日本文藝家協会理事長を辞任。
七月二十一日、自殺。

これは、ちょっとつらい一冊です。

妻と私・幼年時代 (文春文庫)