今日の新聞書評より

日曜日の愉しみは何といっても新聞の書評を読むこと。これがまず朝やることです。そして来週の読書予定をあれこれ考えます。書店でチェックする本、図書館に予約する本、購入したい本などを決める時に役立つのが書評です。

これだけ日々本が出版される中で、誰しも本の森を歩く地図を必要します。そのガイドとなるのが書評です。いい書評を読むと、即書店に行きたくなります。そこまで書評に力があるかどうか。未読者にとってはそこが決め手になります。

今日の書評を読んでいて、気になったのは次の書評です。

[朝日新聞]

タタド    アリスの服が着たい―ヴィクトリア朝児童文学と子供服の誕生


[日経新聞]

山口昌男の手紙 文化人類学者と編集者の四十年


特に鴻巣友季子さんと川本三郎さんの書評がよかった。

最近鴻巣さんの書評に注目しています。今回の『タタド』の書評もいい、そしてうまい。作品を紹介しながら、自分の感想もしっかり書いています。作品もそれだけ魅力的だったに違いないのですが、ぜひ読んでもらいたい内容です。

また、川本三郎さんの書評は定評があるので、あえて書く必要もないと思います。今回はこれまた何といっても『山口昌男*2の手紙』です。これは「山口さんの著者への手紙が中心になっている。それに、著者の感想が添えられる。一種の書簡集といってもいい」という内容です。これも気になる1冊です。

番外ですが、日経新聞の「詩歌のこだま」で小池昌代さんが、今年五月に亡くなった、詩人吉行理恵さんについて、『吉行理恵レクイエム「青い部屋」』(文園社)を紹介しながら、書いています。「焦点深度」の深い一文です。一読を。

*1:カバー写真が不鮮明のため割愛しました。

*2:「まだ無名時代の若き山口昌男の文章を読んだ大教養人林達夫は<半世紀に一人出るか出ないかの天才>と評したという。その慧眼どおり、一九八○年代から九○年代にかけて山口昌男は日本の文化シーンで大活躍をした」 肩書きは文化人類学者ですが、知の巨人とも言われ、本当の自由人とも言われていました。この山口さんはいまこの時代をどう見ているのでしょうか。知りたいところです。