やはり初版本はすごい

紀田順一郎さんの「書窓漫録」の8/10「生活者の防衛本能」で、次のように書いてありました。紀田さんの書き込みを読むのは久しぶりです。

終戦直後の昭和20年9月、アメリカ軍の進駐をアテこんで刊行された『日米会話手帳』は、一躍360万部という大ベストセラーとなり、その後『窓際のトットちゃん』(1981)が出現するまで破られることがなかった。」

この『日米会話手帳』の表紙を見るのは初めてでした。こんな本だったんだ。これが歴代のトップに位置していました。時代も時代ですが、これはすごいことです。「生活者の防衛本能」と言ってしまえばそうなのですが。

本は文字だけのイメージだけでなく、画像のインパクトも大きい気がします。いまはそれだけ「外見」を重視ですが、本の「外見」と「中身」が限りなくイコールになるが理想です。

寺山修司『書を捨てよ、町へ出よう』(芳賀書店

昨日、渋谷東急古本まつりに行き、手に取ってのがこの本です。この本の初版本を見たのは今回が初めて。この本の横に『続・書を捨てよ、町へ出よう』がありました。

中身を見ていくと、文庫とぜんぜんちがうのです。著者は寺山修司、イラストが横尾忠則、写真は吉岡康弘。すごく衝撃を受けました。

少し立読みしただけでも、そのページから摩訶不思議な気配とその本の世界へ引き込まれるような気勢を感じました。初版本にはその当時の雰囲気が封印されているのかもしれません。

この評論集が出版されたのが1967年。この年、寺山修司さんが天井桟敷を旗揚げしました。

さて値段はというと、なんと2冊で12000円、絶句。やはり中身もいい、値段も驚き! 今回この初版本が見れただけでも、良しとしなければ。

東急東横店の渋谷大古本市は新宿京王の東西老舗大古書市より、力が入っている印象です。ちょうど金曜日会社帰りの人も多く、たいへん賑わっていました。

今回初めて、あのうさぎ書林さんの本もじっくり拝見しました。さすが、の一言です。

書を捨てよ、町へ出よう (角川文庫)


私の『書を捨てよ、町へ出よう』のイメージは、この角川文庫のこれではないのです。これが現代風ならば、やはり初版本を復刊してもらいたいな。そんな思いです。