愉しみな書評本

先日ジュンク堂新宿店に行き、フロアめぐりをしていたら、いい新刊案内を見つけました。『鶴見俊輔書評集成』(みすず書房)です。これがなんと1巻が4,725円で、全3巻といいます。すでに第1巻がこの7月に出版されました。

  • 第1巻 1946-1969
  • 第2巻 1970-1987
  • 第3巻 1988-2007

今回書評本について、「著者初の年代順構成」されており、「戦後史の新しい読み方」もできる内容になっているとのこと。

鶴見俊輔の書評は独自である。扱っている作品の生成過程に注目する。おのずと、書き手について、作品をめぐる状況について、その時代について、と視野が広がり、そのうえで作品の内容と著者の思考が対峙する。いいかえるなら、読者はそこに鶴見の思想を読み取り、該当作品を読んでいなくても、存分にその書評を味わうことができるのである。

内容を見る限り、大いに期待できそうなのですが、1冊の値段がきびしい。鶴見さんの戦後書評史を読み通せることを考えれば、高くはないと思いますが、購入するにはちょっと手が・・・・・。

鶴見さんは1922年生まれですから、今年で85歳。まだまだ現役で頑張っています。(頑張ってもらいたい!) *1

鶴見俊輔書評集成 1 1946-1969 (1)

それから今日「東川端参丁目の備忘録」を読んでいて、もうひとつ愉しみな書評本が発行されることを知りました。

鹿島茂の書評大全 和物篇 (仮)
毎日新聞社 8月下旬 税込価格:1,890円 
ISBN:9784620318271
博覧強記にして愛書家の著者が贈る最強のブックガイド。歴史、文学、評伝から漫画まで。書評で現代日本の知が浮かび上がる。『洋物篇』同時刊行。

鹿島茂さんの書評集で、和物と洋物の2冊が同時刊行されるそうです。愛書家で、読書家で、フランス文学のみならず、好奇心全方位の鹿島さんですから、大いに期待できると思います。

世はボーナス支給、梅雨が明ければ、夏休み。この2つの書評集を木陰で読みたいなんて夢想していますが、どうやら、読めるのは鹿島さんの書評集だけになりそうです。

*1:できるならば、鶴見俊輔さんさんと吉本隆明さんとの対談を企画し、出版してもらいたい。テーマは二人の個人史と戦後史について。