開高健『日本人の遊び場』

今週は本当に本を読まずに過ごしてしまいした。わずかに本を買った程度で、それ以外は書店にも行かず、よくもったものです。3連休、じっくり本でも読みたいと思っています。この連休は全国的に台風の影響で雨模様。

しかし、この時期、こんな台風が来るのはめずらしいのではないでしょうか。また突風が最近特に多い。なにか変な感じ? 天候が不順であることはやはり地球のどこかがおかしいではないか。こうした所感が多くなっています。

3連休、外は雨、いや台風ですので、家にいることになります。そこで、本の整理をし、ゆっくりと読書しようと思います。少し活字を注入しないと、脳内活性化ができませんので。

今日7/13の朝の新刊広告で、ひとつ気になる文庫を発見しました。これまた光文社文庫です。最近なにかとこの文庫の威勢がいい。編集部が変わったのか、それにしても目立ちます。あの光文社古典新訳文庫はじめ。

その文庫とは開高健日本人の遊び場』(文春文庫)です。「文章の端々に鮮やかな修辞が/煌めく上質の/ノンフィクション」とあります。この文庫は「開高健ルポルタージュ選集」の一冊らしいのです。これは買い。選集とくると、集めてみたくなります。

日本人の遊び場 (光文社文庫 か 40-3 開高健ルポルタージュ選集)

 戦後復興を遂げた昭和三十年代後半。日本人はモーレツに働き、高度経済成長を迎える。膨らむ労働人口に応えるべく、遊び場が誕生した。ボウリング場、パチンコ、ナイター映画……。行動する作家・開高健が「週刊朝日」に発表したルポは大反響を呼んだ。鋭い観察眼が、当時の世相だけでなく、「日本人の本質」を浮かび上がらせ、現代社会まで透察するかのようである。

ふと思い出したのが、開高健さんの『すばり東京』。急いで文庫を探しましたがすぐには見つからず、いくつかの本の山を崩し、どうにか黄ばんだ文庫に見つけ出しました。

それを読み始めると、まずこの『日本人の遊び場』を書き、次に『ずばり東京』を書いています。その頃の開高健さんは昭和32年芥川賞を受賞し、それ以降壁にぶつかり、「泥みたいな日々」を送っていました。

そんな状態の開高さんに小説を書けなくなったら、ルポを書きなさい、とアドバイスしたのが武田泰淳さん。そして書き始めたのが『日本人の遊び場』だったといいます。

それでも「いまだに心、定まらない」日々が続き、次のような心境を『ずばり東京』の「前白−悪酔の日々」に綴っています。詳細は『すばり東京』をお読み下さい。

はにかみ屋の武田泰淳氏はとっくに川の対岸に越しておしまいになり、クサヤの匂う飲み屋はいまでもあるけれど、私に親身の声で助言、忠告してくれる人はひとりもいない。

こうした開高健さんの悪戦苦闘のなかで生まれたがこの2作品です。