一期一会、出会いを大切に

いろいろな出会いがあり、さまざな別れがあります。3月は職場が新しくなったり、一人暮らしを始めたり、学校に入ったり、と何かと別れと出会いの多い時期です。

不安と期待の入り混じり、何とも残酷な4月になる人もいますし、期待に胸ふくらむ人もいます。別れも出会いも不測ということでは一致しています。これからということを考えると、出会いに未知の可能性を感じます。

先日購入した常盤新平さんの『川明かりの街』を読了しました。

この書名にある「川明かり」とは「あたりが暗いのに、川面がほのかに明るいこと」を意味するそうです。そして次のように「あとがき」を結んでいます。

古きよきものが好きだ。いまはなんでも使い捨ての時代で、言葉も使い捨てである。あまりに狭苦しいところに住んでいるので、どんどん捨てていかなければ、いよいよ狭苦しくなるばかりだからであろう。しかし、自分の好きなものは大切にしたいと思っている。

そういう常盤さんもこの本で、自分の将来を決める大きな出会いを二つ上げています。

ひとつは「この一冊」の中で「決定的な一冊は私にもあるとすれば、それは(山口瞳さんの)『江分利満氏の優雅な生活』である。そう断言できるのがうれしいし、この一冊がなかったら、と思うと、私は慄然とする」そうです。

またもうひとつは「ひょっとしたら、あの「ライフ」が私の一生をきめてしまったのではないか。「ライフ」が十二年ほど前に廃刊になったとき、私は親しい友人を失ったような気がした。そして、この雑誌を仙台の丸善で買ったことを思い出していた」とのこと。

こうした本や雑誌との出会いも、その人の将来を決めるものですし、また人との出会いもその人のこれからを決めます。

どんな出会いが待ち受けているのか。こればかりは誰もわかりません。わからないから不安というより愉しみです。そのくらいの気持を持ちたい。であればこそ、いろいろな出会いを大切にしたいと思います。