今年の出版界

12月24日朝日新聞朝刊の読書欄で「年末特集」を組んでいました。なかでも、「2006 出版界この1年」では次のように全体を展望しています。

「ハリ・ポタ」イヤーだったにもかかわらず、全体の底上げには至らず今年の出版物の販売額は昨年割れが確実だ。雑誌は不振、書籍はささやかに健闘、という1年だった。

さらに、新書については。

ソフトバンク新書、朝日新書幻冬舎新書など、引き続き新書の創刊が相次いだ。『国家の品格』に象徴されるように、ごく一部の新書本が極端に売れる現象は今年も続いた。

おそらくこの新書の貢献が「書籍はささやかに健闘」にもつながっているのではと推測します。そうした新書ブームですが、かつて谷沢さんは次のように言っていました。この点も忘れずにいたいものです。

(前略) 当初から新書は程度をおろしていたが、昨今はますますそれが甚だしくなってきた。新書で勉強は結構であるが、新書は人を浅薄にする副作用があることを留意すべきではなかろうか。京は人を賤しうす、新書は人を浅くする、と言っておこう。
谷沢永一 『本はこうして選ぶ買う』 (東洋経済新報社)p63