思想の言葉で読む 21世紀論
朝日新聞の夕刊で随時掲載されていた「思想の言葉で読む 21世紀論」が今日で終了しました。手元にある切り抜きを見ていますが、3回の掲載でしたか? 終わるのがはやい気がしました。
- 9/5 全体知 紋切り型欲する情報社会
- 9/6 表層化 視覚優位 ネットで拍車
で、少し期間が空いて、今日12/18の今日のそれは。
- 12/18 大きな物語 冬の精神が次の時代開く
ということで、これをもって終了することになりました。これを書き続けたのが同社編集委員の清水克雄さんです。最後の今回も、「思想の言葉」を通して、21世紀を語る内容になっています。取り上げた思想家はリオタールとサイードの二人。
孤立を恐れずに逆風に向かい、熱狂や集団思考から遠ざかる。冬の精神が受け継がれた時に初めて、次の時代の新しい物語が見えてくるのかもしれない。
その記事の最後で、清水さんはこう結んでいます。
また、このサイードの好きな「冬の精神」とは「春が近づく予感をしながら、希望の季節をただ待ちつづけるだけでなく、あえて寒風に身をさらす」ことと書いています。理解はできるのですが、どうもぼんやりしています。
「冬の精神」とはいい言葉だと思いますが、この漠然とした感じをすっきりさせるためには、サイードの本を読まなければならないのかもしれません。「冬の精神」という言葉、あまりにもいい響きを残しましたので。
[参考]
清水克雄『文化の断層―世紀末通信
』(人文書院 1995)
今福龍太 沼野充義 四方田犬彦編
『世界文学のフロンティア〈1〉旅のはざま
』(岩波書店 1996)
「冬の精神」所収