『文士のいる風景』あるいは『文士の死にかた』

今日からまた雨模様。この雨、週末から週明けまで続くとのこと。梅雨入りしたのだから、当然といえば当然です。しかし、本屋さんも含め、販売業の大敵はこの雨。梅雨明けが待ち遠しい。
今日は新宿に立ち寄り、ジュンク堂鶴見俊輔さんの『夢野久作―迷宮の住人』(双葉文庫)を探しに行きました。残念ながら、在庫なし。そのまま書店を巡回し、次の2点を買いました。

文士のいる風景  子どもは判ってくれない
帰りに、大村さんの文庫を読み始めましたら、面白く読み続けてしまいました。この文庫は「ちくま文庫のための書下ろし」ですが、著者は「あとがき」で次にように書いています。

本書はかつての拙著<文壇物三部作>の中から、私なりに棄てがたく思う作家生活の断片や挿話のあれこれを抽出し、あるいは手を加え、あらためて構成した文壇ショート・ストーリーである。

この本は「作家のゴシップ集」にならず、密度の濃い内容になっていると思います。が、このタイトルがどうも内容とミスマッチという気がします。

ここに書かれているストーリーはすべて文士の死に関わるもの。であれば、「文士のいる風景」というよりも「文士の死にかた」した方がよかったのではないでしょうか。新書も「文士の生きかた」ですので。

しかし死の入るタイトルは本の題名として不適切なのかもしれません。この文庫はそれほど文士の死にかたについて書いてあります。

[大村彦次郎さんの本]

  • 文壇うたかた物語
  • 文壇栄華物語
  • 文壇挽歌物語 ( 以上が<文壇物三部作>。)
  • ある文藝編集者の一生
  • 時代小説盛衰史
  • 文士の生きかた(ちくま新書

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