岩波書店「図書」2020 2月号 日本近代史家 渡辺京二「ひと騒ぎ」から引用し掲載します。これは渡辺さんが人名を調べた時の最後の箇所で、生命活動とは何かついて触れています。生命活動=生きるとは ・・・・・ 。
こんなこと、知的探究心と言えば体裁がいいが、本当は死という一大事を迎えようとしている人間にとって、何の意義もない詮索にすぎぬ。だが、こういう何の意義もないいとなみが、結局は生命活動なのではあるまいか。無心に地を這う虫が、地を這うというだけで命を実現しているのだとすれば、こういう些事にこだわるのも、私の命の表れかも知れぬ。