鷲田清一さんのエッセイ

鷲田清一さんは朝日新聞の「折々のことば」と日経新聞の「かたちのレビュー」を書いています。

この2つのエッセイ、前者は普段のことばの見直しを、後者はかたちからのモノの見直しをしています。ともにわかりやすく、考えるとは何かを学び直しています。

例えば、10/8 日経新聞「かたちのレビュー」の「メガネのフレーム」から。

ファッションというのはバランスである。バランスであるからには、その人の佇まいに、逆方向の二つのヴェクトルが交差しているほうが人目を惹く。全身フェミニン、全面マッチョは、退屈なのだ。体の表面に何かの動きが生まれると、同時にそれを否定するような動きも生まれるというところに、蠱惑や妖しさが浮き立つ。視線を隠すサングラスも、隠すことで逆に強烈な意味作用を発揮する。

これがが鷲田さんの哲学です。かつての哲学のように難解ではなく、ものの感じ方、から考え方までを普段のことばでていねいに読み解いています。

鷲田さんのエッセイを読むと、人間は考える葦であること、そして考えることの大事さを教えられます。