常盤新平さんは60を過ぎて木山捷平を読む

常盤新平さんは先日読んだ『明日の友を数えれば』(幻戯書房)で、次のように語っています。

講談社文芸文庫で『大陸の細道』を読み、『氏神さま・春雨・耳学問』を読んで、全作品を読んでみたいと思うようになった。木山さんの一つ一つの作品が胸に沁みこんでくるようだった。そのとき、私は六十をとうに過ぎていて、六十を過ぎてからは足腰が弱くなり頭もとみに悪くなって、まったくろくなことはなかったが、しかし、ただ一ついいことがあったと思う。木山捷平を読み、生きていてよかったとしみじみ思ったことである>。

本はいつどこでどう読んでもいいと思います。その本に出会えてよかったと思えれば、それだけで十分です。そういう本と出会えれば、常盤さんのように「生きていてよかった」と言えるのでしょう。

しかし、そういう出会いはまれ。奇跡あるいは恩寵と言うしかありません。でも、人はそれを願って、本を読み続けるのです。

木山捷平全詩集 (講談社文芸文庫)      鳴るは風鈴 木山捷平ユーモア小説選 (講談社文芸文庫)      落葉・回転窓 木山捷平純情小説選 (講談社文芸文庫)
 
 
氏神さま・春雨・耳学問 (講談社文芸文庫)      大陸の細道 (講談社文芸文庫スタンダード)      白兎・苦いお茶・無門庵 (講談社文芸文庫)
 
 
井伏鱒二・弥次郎兵衛・ななかまど (講談社文芸文庫)      おじいさんの綴方・河骨・立冬 (講談社文芸文庫)      長春五馬路 (講談社文芸文庫)
 
 
下駄にふる雨・月桂樹・赤い靴下 (講談社文芸文庫)      角帯兵児帯・わが半生記 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)