嘉納治五郎の言葉

中国新聞 2013-02-01コラム「天風録」で、日本女子柔道の事件を取りあげていました。コラムの内容に賛同します。そして末文では、日本の初代オリンピック委員として柔道を世界に広めた嘉納治五郎の言葉を記していました。

<日本の初代オリンピック委員として柔道を世界に広めた治五郎はこんな言葉も残す。道に順(したが)って勝ち、道に順って負けなければならぬ―。相手を敬い、礼を尽くすことが何より貴い>と。

これを機に、柔道界のみならず、スポーツ界全体で、抜本的に、徹底的に指導方法の見直しをしてもらいたい。トレーニング方法は科学的になり、選手の体力強化、技術向上に果たした役割は大きいと思います。

しかし指導方法というと、旧態依然のまま。そして求められるのは強固な上下関係での指導です。まだまだスポーツ根性物語はいまの時代にもあるのです。あってもいいのですが、それは相互の信頼関係があってという条件付です。

やはり、一番大事なのは指導者と選手との信頼関係です。

それを深めるあるいは高めるためには、タテのコミュニケーションでなく、ヨコのコミュニケーションです。監督が先頭で叱咤激励するのではなく、選手と併走しながら、相互向上していくことです。

その原点には、嘉納治五郎の言葉があります。もう一度道の始めに立って、新しい道を創ることができるか。日本のみならず、世界が注目していると思います。であれば、なおさら確かな一歩を期待したい。