読むという行為=積極的な読み変え

由良君美さんの『みみづく偏書記』(ちくま文庫)を再読していると、次のように書いてありました。この文庫はこの箇所だけでなく、あちこち付箋が乱立状態です。

読むという行為、演出という行為、演奏という行為には、たえずこのような、生かし直すための積極的な読み変えが生命になる。テクストも読まれることで初めて生きてあるものになる。いちいちの読みが、生かし直しになるように読者の一人ひとりが読みたいものだ。そのたびに新たな顔を見せてくれるもの、それに堪えうるものを古典と考えたい。 p240

由良氏は読むという行為=積極的な読み変えであり、新しい読み変えに堪えるのが古典だと言います。読者と書物の関係は固定的でなく、変動的であり、常に創発的です。