坪内祐三さんの『考える人』再読

今日はクリスマス。大晦日まであとわずか。あっという間に、新年を迎えることになります。いつもの日常なのですが、何となく気ぜわしく、あれもこれもやらねばという今日この頃です。

イブの夜に外出をしましたが、街はあちこちで賑わっていました。ケーキを買って家に向かう人もいつもより多かった? クリスマスイブを外でなく家で過ごす人が増えているのでしょうか。

この3連休から徐々に本の整理を始めています。まず単行本、新書、文庫、雑誌と区分し、必要な本と不要な本を分けます。不要な本や雑誌は古本屋さんか「ブ」に持ち込みます。

本を整理している最中に、面白い本を読み始めることもあります。これが毎年本の整理を遅らせています。今年もいい調子で「ピサの斜塔」がいくつも出来たのですが、マズイ! 本を読み出してしまいました。

その本、坪内祐三さんの『考える人』(新潮社)。

すでに読んだ本なのですが、読み始めたら止まらず、また新しい付箋が増えました。初読につけた付箋より少ないのですが、それでも色違いの付箋が目立ちます。

例えば、こんな箇所。

 私は、年をとるに従って、つまり二十代の時よりも三十代の時の方が、そして三十代より四十代になってからの方が勉強が楽しくて仕方ありません。
 勉強、というと、学校教育や大学受験のことが想起されて、堅苦しい感じがしますが、要するに、例えば本を読んで、何かを知ることです(「例えば本を読んで」でななく、「特に本を読んで」と書きたい所です)。
 それまで気づかないでいたAとBのつながりが、ある時ある本を読んでいたら、ふとわかるようになります。しかも、読書を重ねて行くと、そういう網の目がどんどん細かくなって行って、その種の発見に出会う機会が増えて行く。
 そういう勉強(読書)の楽しさを私は長谷川四郎から学びました。p120


読書=本を読むことを通して、「AとBのつながり」がわかるようになり、さらにnのつながりを発見することができます。このつながりを見つけることが、知る喜び、読む楽しさです。読書はこのつながりの探求であり、他者の発見です。

特急で目的地に行くのもいいのですが、途中下車をしながら、のんびり旅するのも一興です。さていつになったら、ピサの斜塔が崩れ、本の整理ができるのでしょう。これもまた毎年の年中行事となりました。

考える人 (新潮文庫)          探訪記者松崎天民