MARUZEN&ジュンク堂書店の「道標」11月号

MARUZEN&ジュンク堂書店のPR誌「道標」11月号を一読下さい。と、冒頭から宣伝文句になってしまいました。というのも、11月号は内容充実の一冊だと思うからです。

何と言っても、特集が「大澤真幸の世界」 で、難波店の福島聡さんが書いています。ずっと大澤さんの本を読んできた人なので、自分なりに・・・これが大事!・・・大澤さんという人と社会学をつかんでいます。

特集では大澤さんの著作を追いながら、彼の社会学をわかりやすく解説をし、鳥瞰的視点から、全体図を提示しています。これから大澤さんの本を読む人にとっていいガイドラインになると思います。左:『<世界史>の哲学 古代篇』 中:『<世界史>の哲学 中世篇』(共に講談社)

<世界史>の哲学 古代篇      <世界史>の哲学 中世篇      文明の内なる衝突---9.11、そして3.11へ (河出文庫)



この特集を読み終えて思うこと。

福嶋さんは「かなり偏った 大澤像を描くことになるかも」*1といいながら、「これまでの軌跡を振り返り、その仕事をまとめて紹介することによって、大澤真幸の魅力を訴えたい 」という思いは確かに伝わってきます。

またこの特集は・・・繰り返しになりますが・・・良き読者の視点で、大澤社会学を解説し、全体をしっかりとまとめた労作です。こうした特集がPR誌で読めることに書店のパワーを感じます。

これがMARUZEN&ジュンク堂書店のサービスの力です。同時に福嶋さんの個人の力です。海文堂の平野さん(「海文堂書店日記」)同様、ジュンク堂書店(難波店)の福嶋さんにも注目したいと思います。

こうした方々がいる限り、「本屋」は死なないと思います。

最後に、福嶋さんが大澤さんの魅力をこう書いています。ここに福嶋さんの思いが集約されています。

この、アクロバティックなまでに自由 な構想力、人類の知的(さらには美的) 営為を縦横無尽に駆けめぐることこそ、 大澤社会学の魅力であり、大澤真幸を読 む喜びです。・・・・・(中略)・・・・・やはり、ぼくにとって、大澤真幸は、「ヘーゲル」なのでした。


福嶋 聡さんの本
 
書店人のこころ      劇場としての書店      希望の書店論



[追記]
MARUZEN&ジュンク堂書店のPR誌「道標」11月号、「往復書簡をはじめませんか」p26-27で、夏葉社島田潤一郎さんとと仙台ロフト店佐藤純子さんの往復書簡が掲載されています。内容も「一箱古本市」のことに触れています。本好きのいい手紙が掲載されています。一読下さい。

*1:私は福嶋さんの大澤論を遠慮なく展開すればいい!と思います。自分/他人というフィルタを通すと偏りは生じます。その偏りが福嶋さんの個性です。個性は対象との格闘の中から生まれます。