小林信彦さんの自伝的3部作完結

毎日jp の「毎日の本棚」を見ていると、小林信彦さんの『流される』(文藝春秋)が出版され、これで自叙伝的3部作が完結したとの記事を見つけました。その3部作はご承知の通り 『東京少年』(2005年)、『日本橋バビロン』(07年)と今回の『流される』です。そして、その内容はというと、

東京都日本橋区両国(現・中央区日本橋)の老舗和菓子屋の十代目として生まれた著者が、戦前から戦後にかけて時代のうねりの中を歩む姿を率直に描いたシリーズだ。最終巻では日本橋から離れ、新宿区にある四谷左門町に「流され」ていく。端正な筆致の行間から、日本橋への愛憎、時の流れへの諦観がこぼれてくる。

というものです。「戦前・戦時の生活で1冊、下町の暮らしで1冊、3冊目は山の手の人がどう暮らしたか。この3冊で、読む方が『東京』を分かってくれれば」という思いがありました。また記者を最後にこう記しています。

これまでも疎開生活を描いた小説『冬の神話』(66年)やエッセー『和菓子屋の息子』(96年)など、戦前から戦後についてはさまざまな形で作品にしてきた。改めて3部作を完結させ、「これで全部書いたという思いですね」。


東京少年      日本橋バビロン      流される