書評は本を読ませる力

一週間が始まらず。週はいつから始まるのか。日曜日なのか、月曜日なのか。いつも悩みます。どちらであれ、その週の始まりがどうもうまく滑り出さない。なにか行きはぐれてしまったような動揺と浮遊を感じます。

ブログ記事も一日書かずに、いま書いています。日曜日は Steve Jobsの言葉を掲載したに留めました。よく引き合いに出される引用ですが、ある意味?、ある意味◎の言葉です。私はもちろん後者の評価です。

さて。日曜日と月曜日のことを振り返り、書評欄に気になった記事があったのを思い出しました。先日古本屋で見つけた『シャーロック・ホームズの世紀末』の著者富山太佳夫書評です。掲載は10/16 日本経済新聞の書評欄で、次の本を取り上げていました。

久々にいい書評を読んだ気がしました。もちろん、本を読みたくなったのは言うまでもありません。そういう強い気持ちを生じさせる力が書評の力でしょう。目次、帯、本のいいと思った点をまさに集約した書評でした。

この書評を読んで、富岡さんの本の読み方の一端も知ることができました。というのは、こうです。

「本を読みだすときのコツのひとつは、パラパラめくったページでこれはと思う文章に遭遇するかどうかということである」

そして、この本はいけそうだといいます。これは読書の要諦のひとつかもしれません。富山さんはそういっていますが、そう簡単ではありません。「これはと思う文章」に出会えたのがこの本ということになります。

そして、最後に「 ・・・・・ 男性はに支配された戦闘的な馬とは違って、牛は家の平和を護る女性なのである」と言いつつ、うーん、これは「牛肉文明を支える牛的フェミニズム」と言うべきか」と唸ってみせる。

こうなると、書評も芸のうち、本を読ませる力です。

牛の文化史          ネザーランド



ちょうど向かいのページでは、鴻巣友季子さんがジョセフ・オニール『ネザーランド』(早川書房)を紹介していました。鴻巣ファンのひとりとして、こちらもいい書評でした。