たまには古雑誌を手にとって

今週は新宿からの帰りに、「ブ」に立ち寄りました。一巡して、文庫・新書・単行本、いずれもハズレでした。どうもこのところいけない。アタリが少ない。何か変わったのか。変わらないのか。

今回もゼロかと諦めかけましたが、補充の文庫の中に、久世光彦さんの『向田邦子との二十年』(ちくま文庫)を見つけました。これでひと安心。一冊でも気に入った本があれば、それで十分なのです。

この文庫は久世さんの向田さんへの思い入れのある『触れもせで』と『夢あたたかき』(二冊とも講談社/講談社文庫)を一冊にまとめ、ちくま文庫として出版されました。

本来は講談社文庫でもよかったと思いましすが、何らかの事情があり、こういう結果になったのでしょう。どの文庫であろうと、いい本が文庫で読めること!を喜びたいと思います。



また「ブ」でアタリのない時は、雑誌を見るようにしています。意外な掘出物を見つけることがあります。いま雑誌の時代ではないのですが、以前の雑誌の方が今以上に充実した特集を組んでいたような気がします。

今日買った2006年4/16号の「pen」の特集は「心を揺さぶるグラフィックの宝庫。雑誌の研究」でした。これだけの情報をよく収集し、かつての、いまの、これからの雑誌について考えさせられる特集です。まさに内容充実!

たとえば、日本の雑誌では「太陽」と「VOU」が取り上げられていました。「太陽」は原弘さんが、「VOU」は北園克衛さんがアート・ディレクターを担当しています。「VOU」のことまで知ることができる。

この二誌を見ると、まずエディトリアル・デザインという点から、ともに素晴らしいデザインワークを感じます。この本格的始動は原さんの「太陽」から始まったといわれています。(臼田捷治

それ以外も、海外の雑誌事情があったり、雑誌の歴史があったり、気に入った雑誌のアンケートがあったりと、なにせ盛り沢山の内容です。このメニューをすべて食べるには普通の雑誌の2倍以上の時間を要します。

いい雑誌を出していても、なぜ雑誌が姿を消すのか、本当に不思議です。この特集を読んで、まだまだ雑誌の可能性はあるように思うのですが、これは単なる思い込みに過ぎないのでしょうか。この点、じっくりと考えたい。

これからはデザイン、アート、写真、雑誌、本の特集の雑誌を蒐集したいと思っています。たまには古雑誌を手にとってみるのもいいものです。そこには思いかけない発見や予期しない驚きがあります。


「pen」
2006年4/16号