気になる人と本

ここ続けて気になる人として、松山巌さん、見田宗介さんを取り上げました。思いつくままあげると、ほかにも何人か思い浮かびます。気になる人の連載が気になる本になります。

例えば、坪内さんの2つはともに回数を重ねています。どこまで続くのでしょう。今回の『父系図』は 第七回 「九鬼隆一・九鬼周造」で、開明官僚の父の三角関係が生んだ「いき」の息子についてです。

これは

明治から平成にいたる日本の近現代史の中で、異色の父と息子を取上げ、それぞれの人となりと功績を詳述し、その父子関係に切り込む

という連載です。

また、坪内さんの『探訪記者松崎天民』は『銀座』(中公文庫)等で有名な、新聞記者です。その人を取り上げ、記者としての足跡を追っています。これもまた愉しみな企画です。( 新聞記者というと、いま『明治の異才 福地桜痴』(中公新書) を読んでいます。)

鹿島さんの『神田神保町書肆街考』は勝手知ったる神田神保町についての話。すでに脇村義太郎の『東西書肆街考』もありますが、鹿島さんが一番身近なこの街の今に至る歴史をまとめています。これは大著になる予感がします。

原研哉さんの『欲望のエデュケーション』は6月号で22回の連載です。「図書」のなかで、ずっと読み続けています。原さんはデザインだけでなく、文章も上手い多才の人です。これが本になったら、ぜひ再読をしたいと思っています。

気になる人が執筆中の、いままだ本ではありませんが、本になろうとしている本があります。その成長を見守り、一冊の本になるまで付き合うこともひとつの読書の仕方です。