星野智幸さんのインタビューから

5/10(火)朝日新聞夕刊の文芸欄に小説家星野智幸さんのインタビュー記事が掲載されていました。これは星野さんの『俺俺』が第5回大江健三郎賞を受賞したのに伴い、行われたものです。

星野さんの小説を読んでいないので、小説については何とも言えません。が、いまについてはなるほどと思うコメントがありました。

インターネット環境にいると、自分のこころの深いところにある、ことばにならない叫びを書く場がネットになってしまう。生身の人間を相手にして怒ったり、泣いたりしながら、ことばを交わしあっていくことが大切なのに。

私も生身の人間がことばを交わしあっていくことが大切だと思います。まずリアルな感覚ありきです。しかし、多くの人がヴァーチャルな感覚に馴らされ、現実から逃避し、仮想空間で自己満足をしているのが現状です。

では、どう仮想空間から現実空間に引戻すことができるのでしょう。できればいいのですが、できなければ、逃出した先には何があるのでしょう。リアルを奪還するために、そこまで考えなければならない問題だと思います。

また。

ブログに続き、最近はツイッターを使っているが、流されているような感じがあるという。「気になることがあっても、ツイッターでちょっとつぶやくと満足して浅い思考のまま止まってしまう。ものごころついたときから携帯機器を持つ世代では、流されていることにすら気づかないかもしれない」

私もツイッターをやり始めようと思いましたが、星野さんの言うように、「流されているような感じ」がありました。

ツイッターは思いを時系列に書き込み、140字の交流があって、つぶやきが連鎖していきます。またミニブログですから、気楽に、手軽に、情報交換ができる便利なツールです。

しかし、星野さんはそこでは「浅い思考」しかできないのではと危惧します。自分の思いを140字でつぶやく場合、十分考えて書き込みことができるでしょうか。それができるのはツイッターというよりブログの方ではないでしょうか。

ツイッターは思いを書く、ブログは考えを書く。「浅い思考」から「深い思考」へ! だから、私はこれからもブログをやり続けようと思っています。

尚、5/11から岩波書店が「3.11を心に刻んで」という初めての連載をHP上で公開します。第1回は、精神科医斎藤環さん、歴史家の成田龍一さん、今回取り上げた星野さんも寄稿してます。この連載は毎月11日に更新し、来年2月まで掲載されます。

目覚めよと人魚は歌う     ファンタジスタ     俺俺