3月の新刊から
もう3月の新刊情報が掲載されています。いつものように、2/18「悪漢と密偵」から気になる本を紹介します。ここ1〜2ヶ月は、これといった本がなく、4月待ちかと思っていました。
ところが、3月の新刊 ・・・ これはあくまでも予感です ・・・ いい本がありました。
- 安部ねり 『安部公房伝』 新潮社 3/- 3,570円
- 辺見庸 『国家と人間のからだ』 毎日新聞社 3/中 1,000円
- 赤瀬川原平『東京随筆』 毎日新聞社 3/中 1,890円
- 小熊英二 『私たちはいまどこにいるのか 小熊英二時評集』 毎日新聞社 3/中 1,890円
なかでも、一番気になる本は安部ねりさんの『安部公房伝』です。安部公房さんが亡くなって、今年で10年になります。
この安部ねりさんは<安部公房の一人娘で、三児の母であるとともに、産婦人科医として活躍されている。真知夫人のなくなった今、安部公房をもっともよく知る人である。「ねり」というお名前は、真知夫人の命名で、「グスコーブドリの伝記」からとったとのことである>とのこと。
であれば、なおさら関心が高まります。
安部公房さんを知ろうとすれば、Wikipediaで検索すれば、安部さんの履歴他を簡単に見知ることが出来ます。しかし、それは通り一遍のこと、それ以上の踏み込みはありません。
奥様が亡くなって、いまそれができるのが安部ねりさんかもしれません。よく肉親だと、本人との距離が近すぎて全体が見えなくなる、また本人への思いが強すぎて本人を客観視できない、と言われます。
しかし、ねりさんは10年という年月を経て、父との距離を冷静に測り、客観的に見るように心がけたのではないでしょうか。そして完成したのがこの1冊。あくまでも推測の域を出ませんが、そう思います。
大いに期待したい1冊です。