今年の出版業界

今年の出版業界を要約すると、

<「国民読書年」として幕を開けた2010年。「トルストイ没後100年」「チェーホフ生誕150年」、また「ショパン生誕200年」などの節目にあたり、関連書が多数、出版されました。「日韓併合」「大逆事件」からもちょうど1世紀とあって、ノンフィクションに親しんだ方も多いことでしょう。一方、「電子書籍」という“黒船”が姿を見せ始め、読書の風景そのものが変わろうとしています> ( 毎日jp今週の本棚」より )

という一年でした。

「国民読書年」には数多くの?を。一体何だったんでしょう。出版業界全体での取り組み、隣接業界の支援・協力など、十分であったかどうか。錦の御旗が掲げられただけで、実際にどういう効果があったのか、疑問です。

生誕○○とはアニバーサリー企画としてよくやる販促ですが、トルストイも、チェーホフも、ショパンも、多数の関連書が出版されたそうですが、これまたどうもピンときませんでした。

この記事のなかで、一番関心のあったのが、<「電子書籍」という“黒船” >です。これからの出版業界のみならず、印刷・製本・書店・IT業界等を巻き込んで、新しい本のかたちをどう導入、成長させるのかが焦眉の問題です。

この「電子書籍」ですが、来年以降もその動向に注目です。旧い時代が終り、新時代になるのか、あるいはまた新旧が共存共栄していくのか。これからの業界の取り組みにかかっています。

それだけでなく、今月12/15から三省堂書店のオンデマンド印刷が開始されます。これも新しい印刷のかたちです。かたちとなかみが一体となって、事業として離陸できるのかどうか。「エスプレッソ・ブック・マシーン」の今後に期待したいと思います。

電子書籍の時代は本当に来るのか (ちくま新書)