岩波書店の注目の文庫
『図書』11月号「こぼればなし」より。
<ようやくやってきた秋の夜長、静かに音楽に耳を傾けるもよし、じっくり本を読むもよし。思い切って長編小説に取り組んでみようと思われる向きには、二○世紀を代表する小説、プルーストの『失われたときを求めて』の刊行がいよいよ来月から始まることをご報告いたします。岩波文庫で全十四巻。テクストと絵画の関係も明らかにする多数の図版を収録し、清新な訳文とともに作品受容に新生面を開きます。>
この来月とは11月のこと。この文庫は11月16日に発売されます。
訳者の吉川さんは<プルースト研究で仏アカデミー学術大賞受賞の第一人者による精確清新な全訳>とあります。訳文にも期待が高まります。また、解説文にも<当時の図版を多数収録>とあります。訳文はもとより、この図版も見てみたい。
12月の新刊案内を見て、少々驚きました。本来ちくま学芸文庫かと思っていましたが、これが岩波文庫として刊行されます。
訳者、種村さん、矢川さんがいい。あの高山宏さんもおススメの本です。文庫化されるのが遅すぎたと思いますが、刊行されることを喜びたい。
11/16に山口昌男『内田魯庵山脈 上』が刊行されます。さらに12/16も同書の下が刊行され完結します。これも読み応えのある1冊です。
同書の解説より。
<明治・大正期に健筆をふるった内田魯庵 (1868-1929)。彼はドストエフスキーやトルストイを日本に紹介する一方、市井の自由人たちのネットワークの形成に影響を与えた。魯庵を手がかりに近代日本の埋もれた知の水脈を発掘する。>