今日のブログから
1. 池内紀さんの「珍品堂目録」
今日新宿を廻り、今月未購入の本を買いにJに行きました。その本とは原武史さんの『滝山コミューン一九七四』(講談社文庫)です。単行本は図書館の本を借り読みましたが、今回は文庫です。解説は桐野夏生さん。
その文庫を持って、レジへ。精算を済ませ、講談社のPR誌『本』7月号をもらい、電車に乗りました。ぱらぱらとページをめくり、池内紀さんの「珍品堂目録 91 特権シャレ者 − 『南歐遊記』」を読み始めました。
「特権シャレ者」とは柳澤健という詩人です。この詩人は一高、逓信省、朝日新聞社、外務省に入りました。その秀才が書いた『南歐遊記』を取り上げています。シャレたモダニズムの詩を書く詩人が自分のことと周辺のことを記しているのですが、それ以外のことにはあまり触れていない。
世界は刻々と動き、ヨーロッパは「狂乱の二○年代」といわれる大戦後の混乱のなかで、急激にファシズムが台頭し始めます。そうした動きを知ったか知らずか、詩人でありながら、状況の変化、時代の胎動にはそれほど敏感ではなかった。あるいは頓着しなかったのか。
池内さんはこれは柳澤という一人の詩人・外交官についてだけ言えることではないと疑問を投げかけます。
<十年ばかりして、大日本帝国は大陸進出を企て、やがて対アメリカ戦争に打って出る。各国大使館、また駐在の武官たちから情報が伝えられていたはずだ。彼らは何を見て、何をたのしみ、そして何を少しもみなかったか。特権あるシャレ者は詩人外交官ひとりにかぎらなかったのではないだろうか。>
読了後、人間と時代について考えてしまいました。本当に人間とは可笑しなものです。ともあれ、池内さんらしい複眼的発想とストーリー構成の旨さは相変わらずでした。
2. 「迂路探検」
久々にブログ「迂路探検」より。Automatically shipped by LoudTwitter なのですが、こうした形式のブログも増えてきました。それはそれでいいのですが、文字数の制約がどうも窮屈な気がします。
しかし、内容が伴っていれば、良しといったところでしょうか。形式も内容も伴っていないと、それ自体の意味がありません。内容充実とまではいいませんが、Twitterでもその発想のヒント、思考のきっかけぐらいはほしいと思います。
例えば、<10:37 大室幹雄は真の意味での学者。人文学の巨大な総合人である。松岡正剛も言うように、彼の思索に立ち向かう向学の徒ははたしているのか。友人ひとり、彼に取り組んでいる。>のような。
3. 「古書 赤いドリル」
6/18の当ブログ<「古書赤いドリル」がリアル古書店を>で、古書赤いドリルについて触れましたが、すでにオープンしています。今日のブログめぐりで、あの「古本屋ツアー・イン・ジャパン」で早速取り上げられていました。
「古書赤いドリル」のレポートは冷静沈着、克明緻密なのです。が、まだ棚が整っていないらしく、スタッフもお詫びしているところなんかはほんとに初々しい。そして、筆者は<棚が落ち着いたらまた行きます!>と書いています。